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訪問看護のリハと訪問リハは何が違う?|PTの制度上の位置づけ

訪問看護のリハと訪問リハは何が違う?|PTの制度上の位置づけ

この記事は2026年9月19日時点の内容です。根拠は厚生労働省の通知と、社会保障審議会の資料です(出典は記事の最後にまとめています)。制度は改正されます。必ず最新の通知をご確認ください。

ぺんた

先輩、訪問看護ステーションのリハって、病院から行く訪問リハと何が違うんですか? やってることは同じに見えるんですけど…

あいす

私も訪問看護に移るか迷っていたときに調べて、初めて知ったんだよね。制度の上では「リハビリの人が来る」じゃなくて、「看護師の代わりに来る」っていう位置づけなんです。

訪問看護ステーションから理学療法士が訪問するとき、それは制度上「訪問リハビリ」ではなく訪問看護です。そして国の通知には、理学療法士の訪問は看護職員の代わりに訪問させるものだと、はっきり書かれています。

この記事では、その一文がどこに書かれているのか、そこから何が決まっているのか、そしてなぜ令和6年に減算まで入ったのかを、通知と審議会の資料で確かめます。

結論

訪問看護ステーションの理学療法士の訪問は、通知の上で、看護業務の一環としてのリハビリを行う場合に「看護職員の代わりに訪問させる」位置づけです。

  • 介護保険の通知に、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の訪問は「看護業務の一環としてのリハビリテーション」を中心とする場合に「看護職員の代わりに訪問させる」ものと書かれている
  • 平成30年から、そのことを利用者に説明して同意を得ることが求められている
  • 令和6年からは、理学療法士等の訪問回数が看護職員の回数を超えるなどした事業所で、理学療法士等の訪問1回につき8単位の減算
  • 医療保険の通知には「代わり」という言葉は見当たらないが、理学療法士は定義の段階で「看護師等」に含められている

はじめに

この記事では、基本の単位数・点数・料金と、個別の事業所やケースが算定できるかどうかの判断は扱いません。

減算の「8単位」だけは制度の骨格そのものなので書いていますが、実際に自分の事業所が減算に当たるかどうかは、条件の細部で変わります。必ず所属の管理者・保険者にご確認ください。

まず:どこから来るかで、制度上は別のサービス

利用者さんから見れば、どちらも「リハビリの人が来る」です。ですが制度の上では、別のサービスとして扱われています。

訪問看護ステーションから 病院・診療所・介護老人保健施設などから
制度上のサービス 訪問看護の一部 訪問リハビリテーションという別のサービス
理学療法士の立場 看護業務の一環として、看護職員の代わりに訪問する(この記事の本題) この記事では扱いません

この記事は左側、訪問看護ステーションからの訪問の話です。どちらの保険(介護保険か医療保険か)になるかの違いは、訪問看護のリハビリは介護保険か医療保険かにまとめています。

通知には「看護職員の代わり」と書いてある

根拠は、介護報酬の算定について厚生労働省が出している通知です(通称「老企第36号」)。訪問看護費の項に、理学療法士等の訪問についての決まりがまとめて置かれていて、その最初の一文がこれです。

理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士による訪問看護は、その訪問が看護業務の一環としてのリハビリテーションを中心としたものである場合に、看護職員の代わりに訪問させるという位置付けのものである。

ポイントは2つあります。

1つめは、理学療法士の訪問が「看護業務の一環」として扱われていることです。リハビリという独立したサービスではなく、看護の中に含まれる行為として整理されています。

2つめは、「代わりに訪問させる」という言い方です。訪問の主体はあくまで看護で、理学療法士はその役割を代わりに担う、という構図になっています。

同じ項には、言語聴覚士についての補足もあります。

言語聴覚士による訪問において提供されるものは、あくまで看護業務の一部であることから、(中略)診療の補助行為(言語聴覚士法(平成9年法律第132号)第42条第1項)に限る。

「あくまで看護業務の一部」という書き方からも、訪問看護の枠組みの中での訪問だということが読み取れます。

確認した範囲

この一文は、令和6年の改定のときの新旧対照表で「(略)」=改正なしと扱われていることを確認しました。つまり、令和6年の改定でも改正されていません。

医療保険では、理学療法士も「看護師等」に入る

ぺんた

医療保険の訪問看護でも、同じように書いてあるんですか?

あいす

そこが少し違うところ。言葉の選び方は違うけど、看護の枠組みの中で訪問している、という点は同じなんです。

令和8年6月から適用されている医療保険の通知を2本(算定の留意事項と、運営基準の通知)読みましたが、「看護職員の代わり」という言葉は見当たりませんでした。

その代わりに、医療保険では理学療法士を、定義の段階で看護の職種と一緒に扱っています。訪問看護基本療養費の説明には、こうあります。

(前略)訪問看護ステーションの保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士(以下「看護師等」という。)が(中略)行った指定訪問看護について(後略)

理学療法士も「看護師等」のひとり、という書き方です。介護保険のように「代わり」と言わなくても、同じ訪問看護の担い手として扱われていることがわかります。

また、医療保険の通知にも、理学療法士等が訪問している利用者について次の決まりがあります。

  • 訪問看護計画書と報告書は、理学療法士等の提供内容も一体的に含めて、看護職員(准看護師を除く)と理学療法士等が連携して作る
  • 利用開始時と、利用者の状態が変わったときなどに合わせて、看護職員が定期的に訪問して評価する

介護保険でも同じ項(老企第36号の⑥)に、看護職員による定期的な訪問の決まりがあります。介護保険でも医療保険でも、看護職員による定期的な訪問と評価が求められているということです。

利用者さんに説明して、同意をもらう決まりがある

これは平成30年の改定で、介護保険の運営基準についての通知(通称「老企第25号」)に加わった内容です。訪問看護計画書を作るときの決まりとして、こう書かれています。

(前略)看護師等は、訪問看護計画書の作成に当たっては、その内容及び理学療法士、作業療法士若しくは言語聴覚士による指定訪問看護については、その訪問が看護業務の一環としてのリハビリテーションを中心としたものである場合に、看護職員の代わりに訪問させるものであること等を説明した上で利用者の同意を得なければならず(後略)

つまり、利用者さんは本来、「理学療法士が来るのは、看護職員の代わりとして」という説明を受けて、同意したうえで訪問を受けていることになります。

確認した範囲

この条文は、平成30年の改定資料で確認しました。令和3年の改定資料ではこの項が「(略)」=改正なしと明示されており、令和6年の改定資料にも改正箇所として出てこないため、現在も同じ内容と判断しています。ただし、最新の全文(改正をすべて反映した版)では確認していません。

「代わり」なのに、なぜ減算まで来たのか

ここからが、この記事でいちばん伝えたいところです。

「看護職員の代わり」という位置づけは昔から変わっていません。それなのに、令和6年には減算まで入りました。その間に何があったのかを、国の資料で並べるとこうなります。

年 出来事
平成21年 国のQ&Aで、訪問リハビリを適切に提供できない地域などでは、理学療法士等の訪問が看護師の訪問回数を上回る設定も「あると考える」とされる
平成29年 審議会で、看護師がアセスメントに関わらず理学療法士と連携していないステーションがあることが、委員の意見として問題にされる
平成30年 「看護職員の代わり」であることの説明と同意、計画書・報告書の看護職員との連携が求められるようになる
令和6年 理学療法士等の訪問回数が看護職員を超えるなどした事業所で、1回8単位の減算
令和8年6月 審議会の資料に「リハビリテーションの提供が主体の事業所も一定数あると推察される」と書かれる

平成21年:地域によっては回数の逆転も認められていた

Q&Aが理由に挙げていたのは、訪問リハビリの事業所が地域にない、といった事情です。当時のQ&Aにはこうあります。

リハビリテーションのニーズを有する利用者に対し、病院、老人保健施設等が地域に存在しないこと等により訪問リハビリテーションを適切に提供できず、その代替えとしての訪問看護ステーションからの理学療法士等の訪問が過半を占めることもあることから、理学療法士等の訪問が保健師又は看護師による訪問の回数を上回るような設定もあると考える。

「看護職員の代わり」のはずの訪問が、実際には「訪問リハビリの代わり」としても使われていた、ということを国自身が認めている文章です。

平成29年〜30年:看護が関わらない訪問が問題に

平成29年の審議会では、委員から「看護師が全くアセスメント等に関わっておらず理学療法士と連携していないステーションがあることは問題」という意見が出ています。同じ年の11月の審議会資料には、情報の共有、計画書・報告書の連携した作成、看護職員の定期的な訪問、説明と同意が、対応案として並んでいます。そして平成30年に、前の章で見た説明と同意、計画書・報告書を看護職員と連携して作ること、看護職員の定期的な訪問が通知に加わりました。

ぺんた

回数が多いだけで減算なら、看護師さんの訪問を増やせばいいってことですか?

あいす

そう思いやすいけど、条件はもう1つあるんだよね。ここは読み飛ばしやすいところ。

令和6年の減算は「回数」だけでは決まらない

令和6年の改定で、通知に次の決まりが加わりました。減算になるのは、次のどちらかに当てはまる事業所です。

条件 結果
① 前年度(4月〜翌3月)の理学療法士等の訪問回数が、看護職員の訪問回数を超えている 理学療法士等の訪問1回につき8単位減算
② 看護職員の回数が理学療法士等と同じか多くても、算定する月の前6か月間に緊急時訪問看護加算・特別管理加算・看護体制強化加算のいずれも算定していない 同じく8単位減算

②があることで、「看護職員の訪問回数を増やせば済む」わけではないことがわかります。24時間の緊急対応や、医療的な管理が必要な利用者への対応といった、看護の機能を持っている事業所かどうかも見られている、ということです。

このほか、通知には次の取扱いも書かれています。

  • 看護職員が定期的に訪問する際に理学療法士等と同時に訪問した場合は、どちらの訪問看護費を算定したかで、どちらの回数に数えるかが決まる
  • 条件①の回数は、令和7年度以降、前年度の訪問回数の実績で、翌年度の4月から減算する(条件②は、算定する月ごとに前6か月間を見る)

国は今どう見ているか

令和8年6月の社会保障審議会(介護給付費分科会)に出された訪問看護の資料には、現状についてこう書かれています。

医療処置を含めた24時間の看護サービスの提供ではなく、リハビリテーションの提供が主体の事業所も一定数あると推察される。

同じ資料には、理学療法士等による訪問看護について「累次の改定で見直しを行ってきたところであるが、全体単位数は増加傾向にある」という記載もあります。一方で、ステーションの訪問全体に占める理学療法士等の割合は「近年横ばい」とされています。つまり、平成30年の説明・同意、令和6年の減算と手を入れてきても、理学療法士等の訪問の量は増え続けている。ただし割合が伸び続けているわけではない、というのが国の見方です。

一方で、この資料の「論点」には、理学療法士等の訪問を名指しした項目はまだありません。次の改定でどう変わるかは、この時点では決まっていません。

現場で意識したい3つのこと

1. 利用開始のときの説明を、自分の言葉でも言えるようにしておく ◎

通知は、理学療法士の訪問が「看護職員の代わり」であることを説明して同意を得るよう求めています。説明するのが看護師であっても、利用者さんから「リハビリの先生なんでしょう?」と聞かれたときに、自分の訪問が訪問看護の一部であることを説明できるようにしておきます。

根拠:老企第25号(平成30年改正)の説明・同意の規定 ◎

2. 計画書・報告書は看護師と一緒に作る前提で、記録を残す ◎

介護保険でも医療保険でも、計画書と報告書は看護職員(准看護師を除く)と連携して作る決まりです。自分の訪問内容を、看護師が読んで評価に使える形で記録に残すことが、この決まりを実際に回す土台になります。

根拠:老企第25号・老企第36号・保発0305第19号の計画書・報告書の規定 ◎

3. 転職を考えているなら、面接で「看護師との訪問回数のバランス」を聞いてみる △

令和6年の減算は、事業所の訪問回数の比率と、3つの加算の算定状況で決まります。これは事業所の方針そのものに関わるので、訪問看護ステーションへの転職を考えている人は、看護師とリハ職の訪問回数のバランスや、24時間対応をしているかを聞いておくと、入ってからのギャップが減ると考えています。

根拠:通知の減算条件からの推測です △

この記事で言えないこと

  • 金額・基本の単位数は扱っていません
  • 自分の事業所が減算に当たるかどうかは、この記事では判断できません。細かい条件があります
  • 介護予防訪問看護にも同じ8単位の減算があり、12か月を超えて訪問する場合の減算も見直されていますが、この記事では詳しく扱っていません
  • 説明・同意の条文(老企第25号)は、最新の全文では確認していません(改定資料で改正がないことを確認した、という範囲です)
  • 医療保険側の通知は令和8年の2本を読みましたが、疑義解釈(Q&A)までは確認していません
  • 次の改定(令和9年度)で何が変わるかは、令和8年6月の審議会資料の時点では決まっていません

最後にもう一度

この記事は制度の骨格と経緯を理解するためのものです。

個別の事業所・ケースの算定の可否は、必ず所属の管理者・保険者にご確認ください。記事の内容を根拠に請求や説明を行わないでください。

次の訪問で変えること

自分の事業所が、令和6年の減算に当たっているかどうかを、一度管理者に聞いてみる。

根拠:理学療法士等の訪問回数が看護職員を超えるか、3つの加算をどれも算定していない事業所は、1回8単位の減算 ◎

まとめ

  • 訪問看護ステーションの理学療法士の訪問は、看護業務の一環としてのリハビリを行う場合に「看護職員の代わりに訪問させる」位置づけ
  • 医療保険では「代わり」とは書かれていないが、理学療法士は「看護師等」に含まれる
  • 平成30年から、そのことを利用者に説明して同意を得る決まり
  • 令和6年から、回数の逆転か、3つの加算がどれもない事業所で1回8単位の減算
  • 国は令和8年6月時点でも、リハビリが主体の事業所が一定数あると見ている

保険の区分(介護保険になるか、医療保険になるか)については、訪問看護のリハビリは介護保険か医療保険かにまとめています。訪問リハビリそのものの効果については、訪問リハビリは効いているのかをご覧ください。


出典

指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成12年3月1日 老企第36号)

介護保険最新情報 Vol.934(令和3年3月16日・令和3年度改定の通知改正) https://www.wam.go.jp/gyoseiShiryou-files/documents/2021/0317103515238/ksvol.934.pdf

指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について(平成11年9月17日 老企第25号)

訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保発0305第19号/令和8年6月1日適用) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686845.pdf

指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準について(令和8年3月5日 保発0305第20号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001666806.pdf

社会保障審議会 介護給付費分科会 第142回(平成29年7月5日)参考資料2「訪問看護」 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000170290.pdf ※平成21年3月23日のQ&Aは、この資料に再掲されたものから引用しました。

社会保障審議会 介護給付費分科会 第150回(平成29年11月8日)資料5「訪問看護の報酬・基準について」 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000184013.pdf

社会保障審議会 介護給付費分科会 第259回(令和8年6月29日)資料3「訪問看護」 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716095.pdf

※本記事は上記の通知・資料を運営者が読み、自身の言葉で整理したものです。通知の全文転載は行っていません。制度の解釈および個別の算定判断は、保険者・審査支払機関にご確認ください。

タグ:訪問看護 / 訪問リハビリ / 介護保険 / 制度 / 理学療法士

この記事について

本記事は公開されている論文をもとに、あいす・理学療法士(10年目)が要約・解説したものです。原著の内容を完全に再現するものではないため、 臨床判断の際は必ず原著をご確認ください。

また、本記事は特定の個人に対する診断・治療の助言ではありません。 症状についてのご相談は主治医・かかりつけの専門職へお願いします。