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制度・在宅最終更新 2026-09-19

訪問看護のリハビリは介護保険か医療保険か|通知が定める4つの例外

訪問看護のリハビリは介護保険か医療保険か|通知が定める4つの例外

この記事は2026年9月9日時点の内容です。根拠は「医療保険と介護保険の給付調整に関する留意事項及び医療保険と介護保険の相互に関連する事項等について」(平成18年4月28日 老老発第0428001号・保医発第0428001号)で、令和8年3月27日改正・令和8年6月1日適用のものを参照しています。制度は改正されます。必ず最新の通知をご確認ください。

ぺんた

先輩、訪問のリハビリって介護保険ですか? 医療保険ですか? 調べたんですけど、記事によって書いてあることが違って、余計にわからなくなりました…

あいす

あー、それ私も最初につまずいたところ。制度って改正されるから、古い記事がそのまま残ってるんだよね。だから今日は、厚生労働省の通知そのものを見に行きましょう。……と思ったら通知だけでは足りなくて、厚生局の資料まで見ることになりました。

訪問看護ステーションから理学療法士が訪問するとき、要介護認定を受けている人なら原則は介護保険です。ただし通知には、医療保険になる場合が4つ書かれています。

この記事は、厚生労働省の給付調整通知にあたって、その4つと、医療機関からの訪問リハビリテーションとの違いを整理したものです。金額の話は出てきません。目の前のケースがどちらの保険になりそうか、どこを見て確かめればいいのか。それがわかる状態を目指しています。

結論

要介護認定を受けていれば、訪問看護からのリハビリは原則として介護保険。

そのうえで、次の4つに当てはまるときは医療保険になります。

  1. 特別訪問看護指示書にもとづく訪問をするとき
  2. 告示が定める疾病等に当てはまる利用者に訪問するとき
  3. 精神科訪問看護基本療養費が算定される訪問のとき(認知症でない患者に限る)
  4. 入院中(外泊日を含む)に、退院に向けて訪問するとき

※医療機関等からの訪問リハビリテーションは別のサービスです。例外の形も違います(急性増悪等のとき、6月に1回・14日間)

はじめに

この記事では、単位数・点数・料金といった金額と、個別のケースが算定できるかどうかの判断は扱いません。

金額は改定や地域区分で変わり、算定の可否は個別の条件で変わります。目の前のケースについては、必ず保険者・審査支払機関・所属の管理者にご確認ください。

また、扱う範囲は「要介護認定を受けている人」の場合に限ります。通知が定めているのがその範囲だからです。

その前に:「訪問リハビリ」は2種類あります

ぺんた

そもそもなんですけど。うちのステーションから行くのと、病院から行くのって、どっちも「訪問リハビリ」でいいんですか?

あいす

そこ、最初の分かれ道です。見た目は同じでも、制度上は別のサービスなんだよね。

利用者さんから見れば同じ「リハビリの人が来る」ですが、制度上は別物です。

①訪問看護ステーションからのPT/OT/ST訪問 ②訪問リハビリテーション
どこから来るか 訪問看護ステーション 病院・診療所・介護老人保健施設など
制度上の位置づけ 訪問看護の一部 訪問リハビリテーションという別サービス
医療保険での名称 訪問看護療養費 在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料
通知での扱い 第1の8 第1の9

この記事の主役は①です。②は後半で触れます。

①の理学療法士が、制度の上でどういう立場で訪問しているのか(通知では「看護職員の代わりに訪問させる」位置づけ)は、訪問看護のリハと訪問リハは何が違う?にまとめています。

「訪問リハビリ」という言葉が両方を指して使われるので、ここでずれると、そのあとの例外の当てはめが全部ずれます。

確認してください

上の表のうち、医療保険側の名称と通知での扱いは通知で確認したものですが、介護保険側のサービス区分については、この記事では介護報酬の告示までは確認していません。

区分の判断は、所属の管理者・保険者にご確認ください。

①訪問看護ステーションからの訪問:原則は介護保険

通知にはこう書かれています。

訪問看護療養費は、要介護被保険者等である患者については、原則として算定できない

「算定できない」というのは、医療保険から給付しないという意味です。つまり介護保険が優先されます。

ここが出発点です。以下の4つに当てはまるときは、この原則から外れて医療保険になります。

例外1:特別訪問看護指示書が出ているとき

主治医が特別訪問看護指示書を交付し、それに係る指定訪問看護を行う場合は医療保険になります。

急性増悪や退院直後など、頻回の訪問が必要な状態のときに出されるものです。要介護認定を受けていても、この指示書にもとづく訪問は医療保険側に移ります。

例外2:告示が定める疾病等に該当するとき

訪問看護療養費に係る訪問看護ステーションの基準等(平成18年厚生労働省告示第103号)第2の1の(1)に規定する疾病等の利用者に対する指定訪問看護を行う場合

通知はこの告示を「基準告示」と呼んでいます。該当する疾病等であれば、要介護認定を受けていても医療保険になります。

現場では「別表7」という呼び方をよく聞くと思います。厚生局が出している解説資料では、この同じ例外が「特掲診療料の施設基準等別表第七に掲げる疾病等」という書き方で説明されていて、末期の悪性腫瘍・多発性硬化症・筋萎縮性側索硬化症といった難病等が並びます。通知の書き方と現場の呼び名が違うだけで、指しているものは同じ枠だと考えて読んでいます。

確認してください

対象となる疾病等の一覧はこの記事では挙げません。告示は改正されることがあり、記事の一覧が古くなると誤りのもとになるためです。

また、上に書いた「基準告示第2の1の(1)」と「別表第七」の対応は、通知と厚生局資料の書きぶりを突き合わせた運営者の理解です。告示の条文どうしを照合したものではありません。

必ず告示の最新版か、所属の管理者・保険者にご確認ください。

なお、この記事は制度の話に絞っています。個々の疾患のリハビリそのものについては、ALSの呼吸筋トレーニングは安全かや脊髄小脳変性症にリハビリは効くのかで扱っています。

例外3:精神科訪問看護基本療養費が算定されるとき

精神科訪問看護基本療養費が算定される指定訪問看護を行う場合(認知症でない患者に指定訪問看護を行う場合に限る。)

この場合は医療保険になります。ただし括弧の中が本体です。認知症の患者は対象から外れます。精神疾患があれば一律に医療保険、ではありません。

ぺんた

精神科の訪問看護って、病院から行くこともありますよね。あれも同じですか?

あいす

似てるけど、別の条文。しかも書き方が微妙に違います。ここは混ぜないほうがいいところ。

保険医療機関側の規定は次のとおりです。

精神科訪問看護指示書が交付された場合は、要介護被保険者等の患者であっても算定できる。ただし、認知症が主傷病である患者(精神科在宅患者支援管理料を算定する者を除く。)については算定できない。

訪問看護ステーション側(第1の8)は「認知症でない患者に限る」、保険医療機関側(第1の7)は「認知症が主傷病である患者は算定できない」。似ていますが同じ文ではありません。どちらの立場の話をしているのかを意識して読み分けてください。

例外4:入院中に退院へ向けて行うとき

入院中(外泊日を含む。)に退院に向けた指定訪問看護を行う場合

退院前の訪問です。この訪問も医療保険になります。「外泊日を含む」と明記されています。

ぺんた

この4つ、現場で迷いそうなのってどれですか?

あいす

2と3かな。2は告示を見にいかないと該当するかわからないし、3は括弧の条件を読み飛ばしやすい。「たぶん該当する」で進めないこと。ここだけです。

②訪問リハビリテーション:例外の形が違います

医療機関などから行う別サービスです。①の4つの例外はここには当てはまりません。通知には別の規定が置かれています。

在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料は、要介護被保険者等である患者については、原則として算定できないが、急性増悪等により一時的に頻回の訪問リハビリテーションの指導管理を行う必要がある場合には、6月に1回、14日間に限り算定できる。

①と②の違いがここに出ます。①は指示書や疾病で医療保険に移り、その状態が続くあいだ続きます。②は「急性増悪等のとき、6月に1回・14日間」という、回数と日数で区切られた枠です。

同じ「医療保険になる例外」でも、性質が別物です。

現場でどう使うか

1. どちらのサービスかを先に確定させる

訪問看護ステーションからの訪問(①)なのか、医療機関等からの訪問リハビリテーション(②)なのか。ここを取り違えると、例外の当てはめごと間違えます。

2. 「要介護認定を受けている人か」を確認する

この記事が扱っているのは、要介護認定を受けている人(要介護被保険者等)の場合です。通知が定めているのがその範囲だからです。

認定を受けていない人については、この通知の守備範囲の外になります。年齢や被保険者資格(40歳未満か、40〜64歳で特定疾病に該当するか、65歳以上で未申請か)が関わってくるので、この記事では扱いません。

3. ①なら、4つの例外を順に確認する

特別訪問看護指示書/告示の疾病等/精神科訪問看護基本療養費(認知症でない患者)/入院中の退院に向けた訪問。どれかに当てはまれば医療保険、当てはまらなければ介護保険です。この順で見ていけば、大半のケースは整理できます。

②なら、急性増悪等に当たるかどうかを見ることになります。

4. 判断に迷ったら、自分で決めない

例外の条件は細かく、この記事に書いていない条件が個別に効いてくることがあります。通知には加算の調整規定なども併せて書かれています。管理者・保険者・審査支払機関に確認するのが正しい手順です。

そもそも訪問リハビリに効果があるのかという話は、訪問リハビリは効いているのかにまとめています。

最後にもう一度

この記事は制度の骨格を理解するためのものです。

個別のケースの適用可否・算定の可否は、必ず保険者または審査支払機関にご確認ください。記事の内容を根拠に請求や説明を行わないでください。

まとめ

  • 「訪問リハビリ」は2種類ある。訪問看護ステーションからの訪問(①)と、医療機関等からの訪問リハビリテーション(②)
  • ①は要介護認定を受けていれば原則として介護保険
  • ①には例外が4つあり、当てはまると医療保険になる(特別訪問看護指示書/告示の疾病等/精神科訪問看護基本療養費〈認知症でない患者〉/入院中の退院に向けた訪問)
  • 精神科は、訪問看護ステーション側と保険医療機関側で条文が別。書き方も違う
  • ②の例外は形が違い、急性増悪等で6月に1回・14日間に限り医療保険
  • 金額と個別の算定可否は、この記事では判断できません

出典

医療保険と介護保険の給付調整に関する留意事項及び医療保険と介護保険の相互に関連する事項等について(平成18年4月28日 老老発第0428001号・保医発第0428001号) 令和8年3月27日 一部改正(老老発0327第2号・保医発0327第4号)/令和8年6月1日適用 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001697767.pdf ※本文の引用は第1の7・8・9から。

訪問看護療養費に係る訪問看護ステーションの基準等(平成18年厚生労働省告示第103号/通知内での呼称「基準告示」) ※対象となる疾病等(第2の1の(1))は本記事では列挙していません。最新の告示をご確認ください。

訪問看護療養費の取扱いの理解のために(厚生労働省 近畿厚生局・令和3年度) https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kinki/gyomu/gyomu/hoken_kikan/kango/3nenndohoumonnkangorikainotameni.pdf ※「別表第七」の呼び名と疾病等の並びは、この資料で確認しました。令和3年度時点の資料である点にご注意ください。

※本記事は上記の通知を運営者が読み、自身の言葉で整理したものです。通知の全文転載は行っていません。制度の解釈および個別の算定判断は、保険者・審査支払機関にご確認ください。

タグ:訪問リハビリ / 訪問看護 / 介護保険 / 医療保険 / 制度

この記事について

本記事は公開されている論文をもとに、あいす・理学療法士(10年目)が要約・解説したものです。原著の内容を完全に再現するものではないため、 臨床判断の際は必ず原著をご確認ください。

また、本記事は特定の個人に対する診断・治療の助言ではありません。 症状についてのご相談は主治医・かかりつけの専門職へお願いします。